L-シトルリンとトランスレスベラトロール配合サプリメント摂取による研究報告・白井賞受賞
L-シトルリンとトランスレスベラトロール配合サプリメントの摂取によりこれまで勃起機能障害(ED)治療薬が効かなかった勃起障害患者の症状が改善
順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科および大阪大学医学部泌尿器科とL-シトルリン※1およびトランスレスベラトロール※2と勃起障害(ED)に関する研究を行っております。
そのなかで、ED治療薬をオンデマンドで使用する男性の治療にL-シトルリンとトランスレスベラトロールの併用療法が有効であることを初めて明らかにしました。本研究成果は論文として「Sexual Medicine」に掲載されています。
<研究の方法と結果>
PDE5iを服用しても国際勃起機能スコアによる問診票(SHIM)の点数が16点に満たない患者13人(29-78歳)を対象に実施しました。
無作為化二重盲検クロスオーバー試験とし、A群B群の2群に分け、L-シトルリン800mg /日、およびトランスレスベラトロール300mg /日の合剤とプラセボを摂取しました(図1)。オンデマンドでのPDE5iの使用は継続しました。勃起機能を測定するためにSHIMと自己診断型の勃起硬度評価スケール(EHS)を使用しました。
図1. 試験方法
その結果、両群とも合剤サプリメント服用後のSHIMにおいて、統計学的有意差をもって改善が認められました(図2)。EHSについては有意差が認められませんでしたが改善傾向が示されました。
この研究はPDE5iをオンデマンドで使用しているにも関わらず、効果が不十分な症例に対し、L-シトルリンとトランスレスベラトロールの併用療法が有効であることを示す最初の研究です。今回の新たな知見は、ED患者に対する治療の選択肢の1つになりうることを明らかにしました。
図2.結果
<研究背景・目的>
勃起不全は、満足な性行為を行うために十分な勃起が得られないか、または維持できない状態と定義されています。
国内外の50-80歳の男性を対象にした調査では、EDの罹患率は48.7%と示されており、EDを有する男性は健常な男性と比較して、すべての生活の質に関する満足度が低いとの研究報告もあります。
したがって、ED治療は生活の質の改善にも価値があると考えられます。EDの診療ガイドラインに記載された治療法は第一選択にホスホジエステラーゼ5阻害剤(PDE5i)の服用がありますが、有効性はED患者で56%〜84%と推定されています。
第二、第三の治療法として、真空勃起装置や海綿内注射、陰茎プロステーシス移植手術がありますが、実際に第二、第三選択まで進む例は少ないと言われています。いかに内服により症状を改善できるかが重要となります。
白井賞受賞
当社と順天堂大学医学部附属 浦安病院泌尿器科( 以下、浦安病院とする)と共同で行った上記研究論文が性機能学会最優秀論文賞(白井賞)を受賞致しました。
当社レスベラトロールに関する一連の研究で白井賞の受賞は2 度目となります。
本研究は論文責任著者(corespinding author)である浦安病院の泌尿器科 教授 辻村 晃
(つじむら あきら)氏との共同研究で、大阪大学医学部泌尿器科の論文(2011.福原、辻村)※2、
浦安病院泌尿器科(2018.白井、辻村) ※1の一連の研究による受賞となります。
【原著論文】
※1 順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科
本研究成果は、国際性機能医学会の「Sexual Madicine」誌に掲載
英文タイトル:Oral L-citrulline and Transresveratrol Supplementation Improves
Erectile Function in Men With Phosphodiesterase 5 Inhibitors: A
Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Crossover Pilot Study
日文タイトル:勃起障害患者に対する、L-シトルリン及びトランスレスベラトロール合剤
カプセルによる勃起障害改善研究
著者:白井 雅人:1,平松 一平:1, 青木 悠介:1, 下山 博史:1, 水野 太起:1, 野崎 大司:1,
福原 慎一郎:2, 岩佐 厚:3, 影山 慎二:4, 堀江 重郎:5, 辻村 晃:1 1:順天堂大学
医学部附属 浦安病院 泌尿器科, 2:大阪大学 大学院医学系研究科 泌尿器科,
3:岩佐クリニック, 4:かげやま医院, 5:順天堂大学 大学院医学研究科 泌尿器外科学
DOI: 10.1016/j.esxm.2018.07.001
※2大阪大学医学部泌尿器科
Vardenafil and resveratrol synergistically enhance the nitric oxide/cyclic guanosine
monophosphate pathway in corpus cavernosal smooth muscle cells and its therapeutic potential
for erectile dysfunction in the streptozotocin-induced diabetic rat: preliminary findings. J Sex
Med. 2011 Apr;8(4):1061-71